洪水、徐々にバンコク都心部にも近付いて来ているようです。
今の段階では、私の生活圏内にはまだ水は入ってきていませんが
「そろそろ来る」、「あと5時間で来る」など、今日も色々な噂が
飛び交っていました。
政府とバンコク都知事の発表にくい違いがあったり、正直バンコク在住の
私達も何を信じたら良いのか分からないのが現状です。
今夜も家に帰ってきてから、ずっとTVでローカルのニュースを
観ていたのですが、タイに4年半住んでいて常に疑問に思っていたことが
なんだか急に(そうか、そういうことだったのか)と納得できた瞬間がありました。
長年の疑問が一気に解けたような感覚。
それは何かというと、「タイ人の微笑み」、これの意味するところです。
「微笑みの国~Land of Smile~」と称されるこの国。
旅行で来ていた時は、(タイ人は常に微笑みをたたえていて、なんか穏やかで
いいな~)と思っていたのですが、実際に住んで生活してみると、この微笑みこそが
むしろ問題というか、やっかいなものであることに気が付くのです・
どんな時でも微笑を絶やさないタイ人。
■遅刻して来て相手をたくさん待たせたにも関わらず笑顔
■仕事でミスをしても笑顔
■宝くじで大負けしたのに笑顔
■人に謝る時にも笑顔
いつも、不思議に思っていました。
日本人はこういう場面ではむしろ申し訳ない顔をするのが常識だと
私はずーっとそう思っていました。
ニュースを観ていると、今回のこの未曾有の大洪水で多くの方が亡くなり
また家を流されたり職を失ったりした人がたくさんいる中で
被災現場のTV中継でカメラを向けられた多くのタイ人が
こちらに向かって微笑んでいることに気付きました。
腰まで水に浸かりながら、たらいにとりあえずの家財道具を入れて移動するおじさん、
川と化した道路を、舟を漕ぎながら移動していく人たち、
その舟をオールで力強く漕いでいる若いお姉さん、
トラックの荷台にあきらかに定員オーバー+家畜で乗っている大家族の方々、
この悲惨な状況下で、多くの人々が笑顔でカメラに向かって手を振っているんです。
そこに悲壮感はありません。
家が流されたかもしれないのに、仕事がなくなったかもしれないのに。
そして日本と大きく違うなと感じたのは、こういう映像を見ても誰一人
それを「不謹慎だ」だの「自粛しよう」だのと言わないことです。
3月の震災の後、日本ではまるで流行語のごとく、不謹慎だ、自粛だと
言われていたように思います。亡くなった方の数でいえば震災の方が被害は
大きかったと思いますが、今回のこの洪水ではタイの国土の三分の一が
水没したとも言われています。
こんな国家の一大事なのに、それでもタイ人に悲壮感は全く見えません。
被災した年配のおじさんが、カメラに向かって、「それこそ“水に流して”また
一からやり直すさ」って言っていたのを観た時は、そのたくましさが
羨ましくさえ思えました。
これはすごい。この潔さは一体どこから生まれるんだろう。
タイ人は敬虔な仏教徒が多く、転生輪廻を信じているようなので
常に「現状を受け入れる」心構えができているのかもしれません。
現世で貧乏に生まれてきたとしても、それは前世で自分が悪いことをした
カルマなんだ、と受け入れる人がほとんどだと聞いたこともあります。
受け入れること。これは簡単そうでなかなか難しいことです。
「なんで私が?」、「どうして私なの?」私だったらそう思ってしまうかもしれません。
タイ人は強い。
今までタイ人の微笑が好きではなかった私ですが、4年半この国に住んで
やっとその凄さに気付くことができました。
タイ人は本当にたくましい。
そして、優しくて、面倒見がいい。
日本の震災の映像を見て大泣きしていた多くのタイ人を思い出します。
自分達の生活ですら厳しいスラムの住民達が、少しずつお金を出し合って
100万円近くの義援金を日本に送ってくれたのはほんの数ヶ月前のこと。
でも、今日本のマスコミでは、タイにある日系工場の被害により、日本経済への
打撃が大きいことばかりがフォーカスされているように思います。
もちろんそれは一大事です。でも、本音を言えば被災したタイの人々のことを
もう少し伝えて欲しいです。
国の危機ではあるけれど、この国の人達は必ず乗り越えるでしょう。
人に優しさと強さをくれるその微笑みとともに。