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   <title>ネット小説 結婚の色彩</title>
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   <title>第十八話 - 【2】</title>
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   <published>2007-10-15T09:17:26Z</published>
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   <summary>【2】 　桜先生は、落ち着きなくハンカチを何度も折り返したりしている私の様子を少...</summary>
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      <![CDATA[【2】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　桜先生は、落ち着きなくハンカチを何度も折り返したりしている私の様子を少しの間、黙って見ていた。
「そうね。あなたにしてみれば、腹が立つことかもしれないわね。でも、彼は彼なりに色々と考えてると思うけど」
「だったら、私に連絡くれればいいじゃないですか」
「彼もそう思ってるんじゃないかな。なんで帰国したのを知ってるのに連絡くれないんだろう？って」
「むこうが連絡してくるのが筋じゃないですか」
「不安だらけなんだと思うな」
「まさか、翔吾が不安だなんて……」
「あなたが、どうして子供を産む気になったのか、ひとりで産むってことは、自分は必要とされてない、イコール愛されてない。だからハワイに行けと言ったんじゃないかとかね。マイナスに考えていけば、不安材料はいくらでもあるんじゃない」
「よくわかりません、そんなこといきなり言われても。先生は男と女のことよくわかってるんですね」　　
　桜先生は微笑んで私を見た。
「わからないわよ。ただ、あなたより少し人生を重ねてるってことくらいかな。わかっていれば、とっくに独身とさよならしているわ」
　桜先生がパソコンにカルテを入力している背中を見ながら、私は、そんな風に翔吾の側にたって翔吾の気持ちを考えたことがあったのかな。そんなことを思い返していた。多分、一度も、ない。でも、だからって、どうしたらいいかわからない。
　桜先生はそれ以上、何も言わなかったけどパソコンにカルテを入力し終わると、私に向き直って言った。
「余計なことかもしれないけど、ちゃんと彼と向き合ってみたら？」
「診察が終わったなら、帰ります。ありがとうございました」
　先生の言葉に答えることなく診察室を出ようとした私の背中に、桜先生が言った。
「さっきのあなたの質問ね、彼がいつ来たのか。彼が来たのは昨日。来るのが、一日早かったわねって言っておいた」
　その言葉に振り返らずに、私はドアを閉めた。]]>
      
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   <title>第十八話 - 【3】</title>
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   <published>2007-10-15T09:20:51Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:31:59Z</updated>
   
   <summary>【3】 　桜医院を出て外の風に当たりながら歩いていたら、お腹の赤ちゃんが動いた。...</summary>
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      <![CDATA[【3】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　桜医院を出て外の風に当たりながら歩いていたら、お腹の赤ちゃんが動いた。
　私は思わず、お腹を撫でていた。
　きっとこの子が私に少し冷静になれって言ってるんだって思った。
　お腹を撫でていたら、少しずつ冷静になってきた。そしたら、素直になれなくて桜先生に、嫌味なことを言った自分がが恥ずかしくなってきた。
　この子は、私のお腹の中から全部聞いて感じているんだ。

　考えてみれば私と翔吾の関係は宙ぶらりんで、まだちゃんと始まってもいないんだもの。
　翔吾のこと、色々知らなくて当たり前だ。翔吾だって私のことどれだけ知ってるかなんて、わからない。
　それはお互いさまだ。
　でもね、やっぱり、私より先に桜先生に会って色々話したってことは、寂しいよ。
　桜先生が言うように、そろそろちゃんと翔吾と向き合う時なのかもしれない。
　待つのはやめたけど、自分から動くことをやめたわけじゃないもの。
　ううん。むしろ今は、自分から動くことを私は選択するようにしようとしている。
　子供ができてから、なんだか私の中の何かが変化してきているような気がする。

　ちゃんと、白黒はっきりさせなくちゃいけない。この子の為にも、自分自身の為にも。
　翔吾が帰ってきたってことはもう、その時期が来たってことなんだ。覚悟を決める時期が。翔吾から来ないなら、私から行くしかない、よね。
　でも、やっぱりそこでちょっと弱気になったりする……しっかりしろ私！
　そう思った時、お腹の赤ちゃんがまた動いた。
　私は、そっと自分のお腹を撫でた。
「心配かけてごめんね。でも大丈夫、ママに任せて」
　私は、お腹の赤ちゃんにそう言って、顔を上げて歩き出した。
　『ママ』って言って話しかけたのは今日が初めてかもしれない。
　明日は休みだ。翔吾のところへ行ってちゃんと冷静に話をしよう。私はそう決めて『Maman』のオープンへ向けての準備に向かった。]]>
      
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   <title>第十八話 - 【4】</title>
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   <published>2007-10-15T09:21:31Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:31:59Z</updated>
   
   <summary>【4】 　『Maman』もあと一週間でオープンだから、こっちも追い込み段階に入っ...</summary>
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      <![CDATA[【4】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　『Maman』もあと一週間でオープンだから、こっちも追い込み段階に入って忙しい。でも、マタニティやこれから産まれてくる赤ちゃんたちの産着や、小さな小さなレースの靴下や手袋。ママと赤ちゃんのための便利グッズがどんどん並べられていくたびに、なんだか、ワクワクしてくる。
　マタニティもお洒落なものを、私がセレクトしたり、私がアイディアを出して、デザインを発注したものも続々と届いて、大変だけど楽しくて充実している。
　明日のことを考えると、フッとブルーになるけど、すぐに仕事に集中。
　こんなこと言ったら不謹慎かもしれないけど、仕事してることが今の私を支えてくれているんだって思う。

　帰宅するともう、くたくたで食事を作るのも面倒で、なるべく休日に色々作って、冷凍しておくようにしている。
　それに、お母さんやミーちゃんが留守中に来て冷蔵庫にあれこれバランスを考えた食事を入れておいてくれるのがすごく嬉しいし、助かる。
　でも、このアパートも、もう少ししたら引っ越さなくちゃいけない。このアパートは独身者向けだから、大家さんに子供は困るって言われた。ランランはそれを聞いて激怒して大家さんとやりあってくれたけど、このアパートじゃ、音の問題があることがわかって、結局、なるべく早いうちに引越して欲しいってことになった。
　ランランはかなり悔しがっていたけど、新しいところで心機一転っていうのもいいかなって思ってる。

　明日に備えて早目に寝ようと思って、カーテンを閉めようとした時、夜空に綺麗な月が見えた。
　私は、思わずベランダに出て月を見上げた。
　夜風がなんとなく優しい季節になってきたんだなぁ。
　大きく深呼吸して『月光浴だ～』ってつぶやいた時、あの場所に翔吾が立っているのが見えた。

　そう、あの場所。最初で最後に私たちが結ばれた夜、私を迎えにきたあの場所に翔吾は立っていた。]]>
      
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   <title>第十八話 - 【5】</title>
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   <published>2007-10-15T09:22:02Z</published>
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   <summary>【5】 　私は思わず、部屋に逃げ込んでしまった。 「なんで？　なんでいるの？　な...</summary>
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      <![CDATA[【5】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　私は思わず、部屋に逃げ込んでしまった。
「なんで？　なんでいるの？　なにしてるの？」
　カーテンの隙間から覗いたら、やっぱりそこに翔吾がいる。
　どうしよう……。
　いきなりの翔吾の出現に、昼間の勢いは消えて、また弱気な自分が顔を覗かせた。
　それでも、凛としていなきゃって自分に言い聞かせて、私はもう一度ベランダに出た。
「今頃、何しに来たのよ」
　そんなこと言うつもりじゃなかったのに、勝手に口からそんな言葉が出てしまった。
　膝が震えているのが自分でもわかった。
　今日ですべてが決まる。ううん。決めるのだ。……一日早いけど……。
　翔吾は手にした紙らしきものを掲げた。
　まるで、裁判の『勝訴』って走ってくる記者のように。
「これ、持ってきた」
「これって、なによ」
「これだよ。これ。わかんないかなぁ」
　まるで、わからない私が悪いみたいじゃない。やっぱり今、冷静に話をすることは私には無理だ。
「悪いけど、明日にして。明日、私が翔吾のところに行くから。その時ちゃんと話をしよう。じゃあね」
　そう言って、部屋に入ろうとした私を翔吾の声が追いかけてきた。
「ここじゃなきゃ駄目なんだよ。ここからじゃなきゃ」
　今までに聞いた事がないくらい必死な翔吾の声に、私は思わずベランダに戻った。
「オレ達、ここから始まったんだよな。だから、始まった場所からと思ってさ」
　だから、なにを？もう全然わからない。
「オレの名前はもう書いてあるから、あとはお前の名前を書いて欲しいんだ。そして――」
　私は翔吾の言葉を遮った。
「ちょっと待ってよ。なにいってるんだか全然わかんないよ」
「婚姻届だよ！」
「は？」]]>
      
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   <title>第十八話 - 【6】</title>
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   <published>2007-10-22T07:37:17Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:31:59Z</updated>
   
   <summary>【6】 「ちょっと待ってよ！なに勝手なこと言ってるの。なによ、いきなり現れて、い...</summary>
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      <![CDATA[【6】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
「ちょっと待ってよ！なに勝手なこと言ってるの。なによ、いきなり現れて、いきなり婚姻届持ってきて、名前書けって」
「これが、オレの気持ちだから」
「気持ちって。私の気持ちはどうでもいいの？　勝手過ぎる。それに、私、翔吾に責任取って結婚してもらっても全然うれしくない！　責任取られるほど、私、可哀想な女じゃないから！」
「責任取ろうなんて思ってないよ。これはオレの正直な気持ちだし」
「だし……」
　その後は、一体なんて言うつもりなの？
「母子手帳、母子手帳に早くオレの名前書いて欲しいんだ」
「母子手帳……」
　私は、母子手帳の父親の欄の空白を思い出していた。
「オレの一番の夢、なんだと思う？」
「カメラマンでしょ」
「違うよ」
「じゃ、なによ」
「父親になること」
「………」
「オレさ、小学校の時の運動会で、借り物競争ってやつやったんだ。その時、オレが開いた紙に『お父さん』って書いてあったんだ。でも、オレのオヤジ、オレが産まれてすぐ死んじゃったから『お父さん』って言われても連れてこれないじゃん。オレ困っちゃて、その場に立ち尽くしてたら、おふくろの顔が見えて、気がついたらおふくろの手を掴んで走ってた。ビリでゴールするは、お父さんじゃなくてお母さん連れていくはで、みんなに笑われてさ。なんか悔しくて、泣きそうになってたらおふくろがさ『泣くな。お前は間違ってないんだから、泣くんじゃないよ。お母さんは、お前にとってはお父さんでもあるんだからね。胸張っていいんだよ』って言ってくれたんだけど、その時、オレおふくろに『お母さんは、お父さんじゃない』って言って、運動会の途中だったのに家に帰っちゃったんだ。ひどい事言ったのに、おふくろったら全然怒らなくてさ。家帰ってきてオレ見て笑ってた。でもその時の笑顔は寂しそうだった。おふくろは、ひとりで父親役と母親役一生懸命やってくれてたのにな……」
　黙って聞いてる私を見て、翔吾は照れくさそうに笑った。]]>
      
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   <title>第十八話 - 【7】</title>
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   <published>2007-10-22T07:38:17Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:31:59Z</updated>
   
   <summary>【7】 「ごめん。こんな話されても意味わかんないよな。オレはお前におふくろみたい...</summary>
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      <![CDATA[【7】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
「ごめん。こんな話されても意味わかんないよな。オレはお前におふくろみたいな思いさせたくないって思ったんだ」
　やっぱり、同情なんじゃない。
「オレが惚れた女だからさ、お前は」
「え？」
「そのお前が、オレの一番の夢をかなえてくれたんだ。ありがとな」
　その瞬間、私の目から涙が溢れた。
　私は立っていることができなくて、ベランダに座り込んだ。涙は後から後から溢れて、翔吾の声だけが私の耳に聞こえていた。
「オレ、あの時、お前が倒れた時、母子手帳の間に挟んであった写真見たんだ。オレとお前の子供の写真。お前のお腹の中で育っている小さな命の写真。あれってさ、オレがいくら頑張っても撮れない写真なんだよな。スゲーって思った。お前の中で、新しい命が育ってるんだって。聞いてるか？」
　私は返事をしなかった。翔吾から見えないように身体を隠して、座り込んで泣いていた。
　翔吾の声が聞こえなくなった。
　きっと諦めて、帰ったんだ……。そっと、下を覗いたら、やっぱりそこに翔吾の姿はなかった。

　玄関のチャイムが鳴った。私は、ゆっくりとドアを開けた。
　そこには一気に階段を駆け上がってきた翔吾が、肩で息を切らして笑顔で立っていた。
「だから、オレと結婚して下さい」
　そう言って、翔吾は私の頬の涙を手で拭ってくれた。
　気がつくと、私は翔吾の胸で泣いていた。
　これが、正直な私の気持ちだ。我慢して強がって、翔吾がいなくても頑張れる女になろうって無理してた私は、もうそこにはいなかった。
　私は、翔吾とずっと一緒にいたいんだ。ずっと、ずっと……その時、お腹の赤ちゃんが『私もここにいるよ』っていうように、動いた。
「動いた」
「え？　ほんとか？」
「うん」
「さわってもいいか？」
　私がうなずくと、翔吾は恐る恐る私のお腹に手をあてて撫でた。
「ここにいるんだよな」
　そう言うと、私のお腹に耳をあてて目を閉じた。
「なんか、スゲーよな。スゲーよ」
　なんだかいつもより、赤ちゃんが動いているような気がした。
　きっと喜んでいるんだ。きっとそうだ。]]>
      
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   <title>第十八話 - 【8】</title>
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   <published>2007-10-22T07:39:04Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:31:59Z</updated>
   
   <summary>【8】 　その夜、私は婚姻届にサインした。 　翔吾がハワイに行ったのは、ハワイに...</summary>
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      <![CDATA[【8】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　その夜、私は婚姻届にサインした。
　翔吾がハワイに行ったのは、ハワイに長期滞在する準備じゃなくて、行けなくなったお詫びと色々準備してくれた人達にお礼の挨拶をしに行っていたのだ。
　帰国してからすぐに私に逢いに来なかったのは、逢う時には婚姻届を持ってプロポーズする時だって決めていたからだった。その為には、自分の気持ちに迷いがないかどうかひとりで自分と向き合っていたそうだ。
　まったく、ひとの気も知らないで……って私も考えてみたら、自分の事しか考えてなかったかもしれない。
　自己完結の世界の迷路をぐるぐる回っていただけだった。

　今夜、初めてここに翔吾が泊まった。

「翔吾が私の部屋に入るのって、初めてだよね」
「そう言えばそうだな。明日は、アズの実家に挨拶に行くしな。なんだか初めてづくしだ」
「え？」
「え？　って。当たり前だろ。ちゃんとご両親に挨拶して、それから、これを出しに行く」
　そう言って、翔吾は婚姻届を大事にしまった。

　私は、お父さんの顔が浮かんで、一気に気が重くなった。

　翌日、私は重い気持ちのまま、翔吾とふたりで私の実家に行った。
　玄関の前で、私は足を止めた。
「もう、私たち成人してるんだしさ、親への挨拶は省けないかな？」
「ダメ。省けない。だって、オレ父親になる上に、新しくお義父さんが出来るんだぜ。しっかり挨拶しとかないとな」
　翔吾はいつになく真面目な顔をしている。

　『神様、仏様』心の中でつぶやきながら、私は思い切って、玄関のチャイムを鳴らした。]]>
      
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   <title>第十八話 - 【9】</title>
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   <published>2007-10-22T07:40:03Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:31:59Z</updated>
   
   <summary>【9】 　出てきたのは、お母さんとミーちゃんそして、ランラン。 　ランラン、いつ...</summary>
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      <![CDATA[【9】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　出てきたのは、お母さんとミーちゃんそして、ランラン。
　ランラン、いつまで日本にいるつもりなんだろう？
「いらっしゃい。さあ、あがって、あがって」
　お母さんは、笑顔で迎えてくれた。
　その後ろから、お父さんが怖い顔して出てきたかと思ったら、いきなり翔吾を殴った。
　殴られた勢いで、翔吾は尻餅をついた。
「お父さん！」
　お母さんが悲鳴に近い声を上げた。
　お父さんは、拳を握り締めて仁王立ちになって翔吾を睨みつけていた。
　お父さんの拳は、震えていた。
　翔吾は、殴られた頬を押さえて呆然としていたけど、お父さんが部屋に戻ろうとして背を向けた途端、いきなり土下座をして、言った。
「お父さん、お母さん。梓さんと結婚させて下さい」
　お父さんは、それには答えず、黙って奥の部屋に入ったまま出てこなかった。

　お父さんの分も、お母さんやミーちゃんが明るく翔吾を迎えてくれたけど……。
　ランランはそれを面白そうに見ているし。
　もう、早く帰りたい。
　お母さんは、私たちが今日挨拶にくるって聞いて、料理に腕を振るっていた。
　客間のテーブルの上には、料理がずらっと並んでいる。
　ビールを勧められても、翔吾は車だからと断っていた。
　翔吾は、殴られた時、唇を切っていて、何を食べてもしみるみたいで、痛そうにしてるけど「美味しい。美味しい」って言って食べている。
「やっぱり、男の子はいいわねぇ。料理の作り甲斐があるわぁ」
　お母さんは、翔吾の食べっぷりに目を細めてうれしそうだ。
いきなり、ふすまがガラっと開いて、お父さんが洗面器とタオルを持って入ってきた。]]>
      
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   <title>第十八話 - 【10】</title>
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   <published>2007-10-22T07:40:43Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:31:59Z</updated>
   
   <summary>【10】 　お父さんは、翔吾に、洗面器とタオルをぶっきら棒に渡すと、 「行くぞ」...</summary>
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      <![CDATA[【10】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　お父さんは、翔吾に、洗面器とタオルをぶっきら棒に渡すと、
「行くぞ」
　と、ひと言。
　キョトンとする私たちを尻目に、翔吾を連れて出かけてしまった。
「銭湯よ」
「銭湯？」
「良かったわね。お父さん、許してくれたわよ」
「そうなの？なんで？」
　お母さんと、ミーちゃんが笑ってる。
「私の時もそうだったのよ。お父さん、うちの旦那を銭湯に連れ出して、帰りはご機嫌で帰ってきたもの」
「ミーちゃんの時も？でも、なんで、銭湯なの？」
「お父さんね、お母さんを嫁にくれって言いに来た時、おじいちゃんにね、いきなり銭湯に連れて行かれたのよ。だからじゃない。男同士、裸の付き合いってことかしらね」
　私の知らないお父さんとお母さんの話だった。
　お父さんも、お母さんもそうやって結婚したんだ。なんだか、ほのぼのしていて可笑しい。

　しばらくして、本当にご機嫌になってお父さんと翔吾は帰ってきた。
　それから、車で来ている翔吾に、
「うちに泊まっていけ」
　そう言って、お酒を飲ませて、歌まで披露して、完全に宴会モードに入っていった。
　翔吾と、ランランも思った通り、気が合って必ずイギリスに遊びに来いってランランにヘッドロックをかまされていた。

　結局、酔いつぶれた翔吾とお父さんは、一緒に枕を並べて寝てしまった。

　そっとふすまを閉めたお母さんが、
「お父さん、嬉しいのよ。息子ができたみたいで」
　そう言うと、柔らかく微笑んだ。
「それはそうと、翔吾さんのお父様とお母様のお墓にご挨拶にいかなきゃね」
「うん」
　次の休みには、翔吾のご両親のお墓にお参りに行かなくちゃ。
　『翔吾を産んでくれてありがとう』って言いたかった。
　だって、その御両親がいなかったら私は、こうして翔吾と出逢うこともなかったんだから。]]>
      
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   <title>第十九話 - 【1】</title>
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   <published>2007-10-30T04:36:02Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:32:00Z</updated>
   
   <summary>【1】 　翌日、私たちは無事婚姻届を出した。 　母子手帳に翔吾の名前を書いた時、...</summary>
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      <![CDATA[【1】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　翌日、私たちは無事婚姻届を出した。
　母子手帳に翔吾の名前を書いた時、思わず翔吾と顔を見合わせて微笑みあった。なんだかそっちの方がすごく嬉しかった。
　
　一週間後、無事に『Maman』のオープンを迎え、お客様の反応もいい感じで、順調な滑り出しにほっとした。
　取材陣の中に、翔吾の姿もあった。なんだか、不思議な感じ。

　あれ以来、ユリアからはなんの連絡もない。
　というより、私の前から突然消えた。
　『Maman』がオープンした日に突然『Chat』を辞めてしまって、誰もユリアの行方を知らなかった。
　ただ『Maman』がオープンして一週間くらいした頃、遠くからショップを覗いているユリアを見かけた。
　私と目が合うと悪びれた様子もなく、ニコッと笑って行ってしまったけど……。
　それが、私がユリアを見かけた最後だった。
　最後まで、ユリアという人間がどういう人間だったのわからないままだ。

　お母さんとミーちゃんが、入籍したんだから早く一緒に暮らしなさいって言って、色々マンションを探してきてくれた。
　そのお陰で、思ったより早く部屋が見つかった。引越しの準備をしている最中、翔吾が、私の部屋に置いてある大きなダンボールの事をついに聞いてきた。
「前から、気になってたんだけどさ。あの大きなダンボールなんだ？」
　聞かれたくなかった……ハルとの結婚式で着る筈だったドレスのことは……。
「あ、あれ、ウエディングドレス『クルマリ』で処分してくれるって言ってたのに、送られてきたの。だから開けてない」
「ふ～ん。見てもいい？」
「見なくていいよ」
「いいじゃん、見るくらい」
「ご勝手に」
　翔吾がダンボールを開けて中から手にしたのは、ドレスのパーツだった。
「なんだ、これ？　バラバラだぞ」
「ちょっと、見せて」
　中から出てきたのは、私のドレスじゃなくて、全然見覚えのない作りかけのドレスだった。]]>
      
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   <title>第十九話 - 【2】</title>
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   <published>2007-10-30T04:38:35Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:32:00Z</updated>
   
   <summary>【2】 「これって？」 「ひとり分、サイズが増えるから作り直せってことを見越して...</summary>
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      <![CDATA[【2】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
「これって？」
「ひとり分、サイズが増えるから作り直せってことを見越してたんじゃね。やるな～『クルマリ』」
「でも、これ、私のドレスじゃないよ」
「え？　なんだそりゃ」
　翔吾はドレスのパーツを見ながら、何かを思い出したように、笑い出した。
「これってもしかして、リコの。あ～。きっとそうだ」
「なに？　リコさんのって」
「リコが前に騒いでたんだよ。リコが自分用に作っていたドレスがなくなったって。配送伝票もバイトの子が無くしたとかで、調べるのに時間がかかったみたいだったけど、ここに届いてたんだ」
「ひとこと言ってくれればよかったのに」
「送られた先の人が何も言ってこないから、そのまま捨てられたのかもって言ってたな。だって、お前、リコに会っても何にも言わなかったんだろ？リコも、聞きづらかったんじゃないの。オレもまさかお前のところに届いてるなんて知らなかったからさ」
「そう、だよね。どうしよう」
「オレが、連絡してやるよ」
　翔吾が携帯をかけた。

　リコさんは、諦めて最初から作り直そうとしていたところだったそうだ。翔吾からの連絡にすごく喜んで、すぐに取りにくるって言って、誠くんと一緒に飛んできた。
　ダンボールの中を見た時、本当に嬉しそうだった。やっぱり、ドレスは着るべき人のところへ戻るものなんだ。
　私は、今からじゃお腹がどんどん大きくなるから、ウエディングドレスなんて無理だろうな……。私が、そんなことを考えながら、リコさんの作りかけのドレスを見ていたら、リコさんがニコっと微笑んだ。
「そうだ、梓ちゃんのドレス、ちゃんとおめでた婚用に私が作ってあげる」
「え？！大丈夫なんですか？サイズだって、どんどん変わっちゃうし」
「大丈夫、私に任せて。サイズはその都度調節していけるから」
「本当ですか。私、着られるんだ……ウエディングドレス」
　諦めていたウエディングドレスが着られる……嬉しい。ほんとに嬉しい！
　これは、男にはちょっとわからない気持ちかもしれないけどね。
　次の休みに翔吾のご両親のお墓参りに行った後『クルマリ』に行くことになった。]]>
      
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   <title>第十九話 - 【3】</title>
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   <published>2007-10-30T04:39:41Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:32:00Z</updated>
   
   <summary>【3】 　引越しは、結局、翔吾とお父さん、お母さんとミーちゃんで全部済ませてくれ...</summary>
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      <![CDATA[【3】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　引越しは、結局、翔吾とお父さん、お母さんとミーちゃんで全部済ませてくれた。
　こういう時って妊婦は得だ。
　ランランは、結婚式には戻るって言ってイギリスに帰ってしまってちょっと寂しかったけど、きっと引越しの手伝いをさせられるのが嫌だったから逃げたに違いない。と、私は思っている。

　次の休み、私達がドレスの相談をしに『クルマリ』に向かって歩いている途中、私たちの横を猛スピードで男が走って行った。それを追いかけて行く千夏さんとリコさん。もちろん、向こうは私たちには気づいていなかった。
「待てーー！！　幸太郎！」
　千夏さんが、履いていたヒールを脱いで、その男に投げつけた。
　見事にヒールが男の頭に命中。頭を抱えてうずくまる男に追いついたリコさんが、その男を投げ飛ばして、逃げないように羽交い絞めにしてる。
　リコさん、スゴイ。
　そこへ警官が追いついて、男に手錠をかけた。
　観念した男がうなだれているところへ、しじみママがゆっくりと近づいて行くと、大きく手を振りかざした。
　殴る。　そう思った瞬間、その男のあごをクイっと持ち上げ、濃厚なキスをした。

　私はなにが起きたのかさっぱり訳がわからず、呆然と目の前に繰り広げられている光景を眺めていた。
「あいつ……そうか、あいつか」
　翔吾はそうつぶやいた。
　しじみママがこっちに気づいて、軽く手をあげて微笑んだ。
　その微笑んだ顔が、悲しそうに見えたのは気のせいかな？
　翔吾は事情を知ってるみたいで、しじみママに親指を立てて微笑んでいた。
　私達は、そのまま少し時間をずらして、リコさんたちが戻っていそうな時間を見計らって『クルマリ』を訪ねた。]]>
      
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   <title>第十九話 - 【4】</title>
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   <published>2007-10-30T04:40:27Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:32:00Z</updated>
   
   <summary>【4】 　何事もなかったかのように、私たちを迎えてくれる千夏さんとリコさん。 　...</summary>
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      <![CDATA[【4】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　何事もなかったかのように、私たちを迎えてくれる千夏さんとリコさん。
　私もなんとなく、なにも聞かずにそのままドレスの相談をした。
　しじみママの悲しそうな瞳が、何も聞かないでって言ってるみたいだったから。
「まさか、おめでた婚のドレスを注文することになるなんて、あの時は思いもしなかったわね」
　千夏さんは微笑みながら言った。
　『おめでた婚』言葉の響きがいい『できちゃった婚』ってなんだか下品な感じがして嫌いな言葉だったから。
「しかも、相手が翔吾だなんてね」
　リコさんも笑いながら言った。
「ほんとに、なにが起こるかわからないのが人生ね。あっハルから伝言。引き出物用のワインが余って困ってるから、結婚祝いにプレゼントするって、これ見本ね」
　千夏さんが、ワインのボトルを持ってきてくれた。
　大きな羽の下に小さな天使がサンドブラストで描かれていた。
「ハルが、これを？」
「そうよ。なんとかあなた達を祝おうと努力してる最中みたいね。まだあなたたちに会えるほど、心の整理はついてないって。だから、私に伝言を頼んだみたいね」
　私は、泣きそうになった。

「そんな顔しない。そんな顔したら、ハルが怒るわよ。ふたりには笑顔でいて欲しいって、そうじゃなきゃ、僕がみじめになるって。あいつの、精一杯の強がり、受け取ってやってね」
「はい」
「温かいデザインだ。あいつに、ありがとうと伝えてください。よろしくお願いします」
　翔吾は、千夏さんに頭を下げていた。きっと色々な意味を込めて頭を下げたんだと思う。
　ドレスのデザインの打ち合わせをしたその足で、翔吾のご両親のお墓に向かった。]]>
      
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   <title>第十九話 - 【5】</title>
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   <published>2007-10-30T04:41:10Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:32:00Z</updated>
   
   <summary>【5】 　そこは海のそばの高台にある霊園だった。 　私は、翔吾のご両親のお墓に手...</summary>
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      <![CDATA[【5】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　そこは海のそばの高台にある霊園だった。
　私は、翔吾のご両親のお墓に手を合わせて目を閉じた。
『翔吾を産んでくれて、本当にありがとうございます。私もこれから新しい命を繋いでいきます』
　私は心からそう話しかけた。
　海からの風が私の頬を心地よく撫でていく。
「翔吾、月の虹の夢、諦めてないよね」
「おお。諦めてないよ。でも、もうひとつ夢ができた。お前と、産まれてくる子供にも観せてやる」
「うん。観に行く。あっ、動いた」
　お腹の赤ちゃんが動いた。

　検診日に桜医院に翔吾とふたりで揃って行ったら、桜先生がにっこり微笑んだ。
「ふたり揃って来たわね」
「はい。きました」
「おめでとう」
「はい」
「で、立会い出産の件だけど」
「は？」
「あら？話してないの？」
　翔吾はひとりでここに来た時、桜先生に立会い出産を申し出ていたのだ。
「私、聞いてないよ」
「やっぱり、さ、生命の神秘には立ち会わないと」
「それって、父親として？それともカメラマンとして？」
「両方」
「もう」
「怒った？」
「どうせなら、ビデオまわしてよ、ビデオ」
「写真もいいかもしれないわよ……でもね、そうやって意気込んできて、貧血おこして倒れちゃうパパ多いのよ。大丈夫かしらね」
　そう言って、桜先生は翔吾を見た。]]>
      
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   <title>第十九話 - 【6】 感動のフィナーレ</title>
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   <published>2007-10-30T04:42:47Z</published>
   <updated>2008-02-29T03:32:00Z</updated>
   
   <summary>【6】 　翔吾は、大きくうなずいて、 「大丈夫です。ファインダー越しなら、何があ...</summary>
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      <![CDATA[【6】<img src="http://www.beautybride.net/mt/blog_ss/cherry.jpg" alt="cherry.jpg" width="125" height="600" />
　翔吾は、大きくうなずいて、
「大丈夫です。ファインダー越しなら、何があっても絶対に倒れませんから」
　だって。変な自信だ。
　結局、立会い出産をすることになった。私の方は、どちらかというと、複雑な気分。
　見られたくないような、そばにいてほしいような……。
　ま、当日の気分でやめることもできるから、今のところよしとしとこう。

　それから二ヵ月後、私はリコさんが作ってくれた淡いピンクのウエディングドレスに身を包み、翔吾と式を挙げた。
　お腹が日に日に大きくなっていくから、何度も何度もドレスのサイズを調整してもらった。
　お腹が大きくなっても楽で綺麗に着られるドレスなんて感激だ！
　やっぱり、一生に一度だもん。お腹が大きくたって綺麗でいたい。

　翔吾は、新郎なのかカメラマンなのかわからないくらい、カメラを構えて私を撮ってくれてる。
　誠くんにこんな時くらい、写真のことは忘れて座ってろって怒られてた。
　
　ブーケトスの時、たくさん伸びた手の中で、よりによって、マルちゃんが伸ばした手の中にブーケがすっぽり。
　思わず笑っちゃった。でも、マルちゃんはママだけど、シングルなんだから、もしかしてこれから素敵な恋愛をするかもしれない。
　私はこれから、赤ちゃんを産むっていう一大イベントが待ち受けている。
　不安だらけだけど、楽しみの方が大きい。
　これからますます、未知の世界に突入してあちこち迷ってぶつかっていくと思うけど、きっと、大丈夫。
　だって私はひとりじゃないから。
　人間はひとりで生きてるんじゃないって、この子が教えてくれたから。
　きっと、大丈夫！


ハッピースタート！


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